つき抜けるような空の青。
吸い込まれるような海の青。
一口に青と言っても、空の色は刻一刻と変化していきます。そしてどう見ても青い海を、エメラルドグリーンの海と表現したりしますね。信号機の「緑」を「青」と呼ぶ国は、日本の他にないそうです。
青葉、青菜、青田、青みかん、青い山脈、青々とした緑
そう、日本人は青いものはもちろんのこと、「緑」のものまで「青」と表現します。
・まだまだ君も青いな。
・青春は年齢ではなく、生きる姿勢のことだ!
若々しく瑞々しいという印象に青を使うのは、日本古来からの美意識なのかも知れません。
日本人で一番好きな人が多い色は青だと言われています。明るい青、渋い青、暗い青、鮮やかな青。さまざまな青を取り入れて、あなたならではの表現を楽しんでくださいね。
・コバルトブルー
もっとも彩度の高い青色のひとつとして知られています。今では入手困難な、アルミン酸コバルト含有率100%の顔料の中でも、月光荘はさらにコバルト比率が高いものを使用しているため、青みの濃さ、強さが特徴です。成分的には、どんな色とも安心して混色ができます。
・ウルトラマリン
硫黄錯塩を使用。透明性が高いため、厚塗りをすると色が沈んで暗く見えがちです。そのため薄塗りにして使用するか、少しだけ白を混ぜると鮮やかな青さが活きてきます。ただしシルバーホワイトのような鉛系の絵の具と混色すると、黒変する可能性があります。赤よりの青なので、黄色を混ぜても綺麗な緑ができないので要注意。耐光性は普通です。
・セルリアンブルー
スズ酸コバルトを顔料として使用しています。スカイブルーよりも青みが濃く、赤みの少ない空色。塗りの厚さや混色に特に制限はなく、さまざまな用途で使用しやすいと言えます。ただ金属とこすり合わせると黒変する性質があるため、月光荘が製造する際の注意点としてヘラなどを使用する際には、その点を十分注意しています。
・プルシャンブルー
ミロリブルーとも呼ばれている紺青(フェロシアン化第二鉄)を顔料として使用しています。着色力が強いため、混色する際はごく少量から試した方が良いでしょう。また単色で使用する場合も、厚塗りをしてしまうと色が黒ずんで見えてしまうため、薄塗りが効果的です。コンクリートのようなアルカリ性の画面に塗ると茶変してしまうので要注意。
・インディゴ
単色だと、プルシャンブルーよりも深みのある紺。明度がないため、白と混ぜるか薄塗りにすると青みが引き立ちます。月光荘ではかなり古い顔料を使用していますが、現在流通しているインディゴ顔料は20世紀初頭からほぼ合成顔料。顔料単色で製造するとほとんど黒なので、ウルトラマリンをベースにしてインディゴ顔料を少しずつ混ぜながら、月光荘の色味に調色しています。使用上の注意はウルトラマリンと同様に、鉛系の絵の具との混色は黒変する可能性があるため避けた方が良いでしょう。
・コンポーゼブルー
透明感があり、やや緑がかった水色。月光荘ではフタロシアニン系ブルーに少量のフタロシアニン系グリーンを含んだ合成顔料をベースに、さらにジンクホワイト、チタンホワイト、合成ビリジャンを組み合わせて透明性や明度、色味を調色しています。どの色とも混色が可能。
・バイオレットブルー
バイオレットと言っても紫は使っておらず、月光荘ではウルトラマリンをベースにクリムソンレーキを混ぜて、アケビのような明るい青紫を表現しています。重ね塗りすると、クリムソンレーキが滲み出てくる(ブリード現象といいます)ことがあるため、下地には向きません。またウルトラマリンを使用しているため、鉛系絵具との混色は黒変の可能性があり、避けた方が良いでしょう。
・アジールグレー
ジンクホワイト、ウルトラマリンで調色し、チタンホワイト、インディゴで透明性と明度を調整した中間色です。グレーと言っても黒は使用していないため、彩度の低い明るい水色といえます。ウルトラマリンを使用しているので鉛系絵具との混色は避けた方が良いでしょう。
写真撮影:Eisuke Yamashita