ルネパパゼペットおじさん
~月光荘の太陽~
女学校の頃 日本橋の家から銀座まで
ピアノ ダン・ミチコ先生に習うため
銀座八丁目まで歩いて通いました。
その途中で一番の楽しみはより道です。
その一「おかめ」か「かのこ」であんみつを食べる。
その二 みゆき通りと並木通りの角にある「ジュリアン・ソレル」に寄ってレエスの下着を見る。
その三 月光荘のパパベゼットに寄って、絵の具とスケッチブックを買う。あのピンク、イエロー、モスグリーンの四角いスケッチブックを小脇にはさんで口笛をふきふき日本橋まで歩いて帰る時は、もうヘトヘト。
(だってーェ)ネ!!わかるでショ。寄り道しすぎて お腹パンパン、脇パンパン。香水の見本かぎすぎて 足もとフラフラ。ワクワクする青春でした。
ゼペットパパは、必ず天井からぶら下がってるカゴに「お金はそのかごに入れて!」
創業100周年記念本「人生で大切なことは月光荘おじさんから学んだ」より抜粋
月光荘と水森亜土さんの出会いは、まだ彼女が女学生の頃。透明のアクリルボードに、歌いながら両手で同時にイラストを描くパフォーマンスで一世を風靡するようになる、そのずっと前です。
日本橋生まれの水森さんの散歩コースに銀座の月光荘があり、歌うように話す水森さんは月光荘創業者にとって、年の差こそあれ美意識を共有する大切な友だちでした。
スケッチブックの表紙裏に若かりし水森さんと月光荘創業者1968年、銀座の泰明小学校前に、画材店舗と住居、そしてサロンやギャラリー、レストランなどが併設された念願の月光荘ビルが完成。その際の施設全体の紹介イラストは水森亜土さんによるもの。長い友情が形になった、月光荘の宝物です。
その友情のバトンは、創業者の孫である3代目店主の日比康造にまで引き継がれ、2017年に出版された月光荘創業100周年の記念本には、イラストとポエムを寄せていただきました。それが冒頭にご紹介した水森さんならではの独特なリズムのあるポエムです。
アクリルボードの向こうから弾ける笑顔で世界を魅了したあの頃と何も変わらず、ライブに個展に、今でも現役でご活躍の水森さん。いつまでもどうかお元気で!