共に想い描いた民芸的生活様式が、40年の時を越えて復刻
月光荘創業者の親友だったアーティスト、猪熊弦一郎さん。疎開先の宇奈月から早く東京に戻るよう説得したのも、戦後は銀座に店を出したらよいと提案してくれたのも猪熊さんでした。
そんな猪熊さんとは、グッドデザイン賞も受賞しているスケッチブックやポストカードなど、月光荘製品のものづくりをたくさんご一緒しました。その内の一つが、無垢の木材を使った組み立て式のダイニングテーブルセットです。書簡で何往復もデザインの詳細を詰め、試作を繰り返したやり取りが今も残っています。
まさに2人の友情の証とも言える作品が、猪熊さんの出身地でもある香川県で40年ぶりに復刻されることとなりました。製造を手掛けたのは、香川県で170年以上の歴史を誇る家具専門店・中村谷さんです。
猪熊さんは言います。「家具は生きている。そして人々の愛情を求めつつ毎日を生きている。」「私達の本当に良き友として、あるものはまるで恋人のよう。」だと。猪熊さんにとって椅子もテーブルも、その他すべてのものは人と同じ、命ある生きているものでした。
特徴的な椅子のデザインは、ラダーバックチェアと呼ばれるもの。民芸運動にも貢献した陶芸家の濱田庄司が、スペイン南部の村で手工芸による生木でつくられたラダーバックチェアと出会い、その仕事と美しい形状に感銘を受け、日本にも輸入しています。当時の文化人たちが海を超えて胸を踊らせたデザインが、約60年の時を経て、いままた新たな時を刻み始めます。
■特徴
猪熊弦一郎の家具デザインとしては珍しく、民藝の流れを汲む素朴で土着な佇まい。地面に近い低い目線を好む日本人の民族性を意識し、天板も椅子の座面も低めに設定。
▶通常は節の少ない木表を表面にしますが、あえて節の表情を出すため、木裏を表にしています。
▶同じ形をしていてもそれぞれに個性が出るよう、チェアの座面はランダムに木取りしています。
▶テーブルの右の引出しと左の引出しは、同じ箇所から木取りすることで、美しい木目の流れを楽しめます。
■サイズ
テーブル:W1214mm×D988mm×H642mm(組立前 W1214mm×D988mm×H210mm)
チェア:W395mm×D405mm×H1085mm(SH372mm)
材質
テーブル:ヒノキ(木製ナット蒲桜)
チェア:クリ
価格
テーブル(1台):656,700円(税込)
チェア(1脚):259,600円(税込)
セット(テーブル1台+チェア4脚):1,695,100円(税込)
※テーブル、チェアいずれも単品での注文も承っております。